
この度、日本看護研究学会第51回学術集会の会長を仰せつかり、2025年8月30日(土曜日)と31日(日曜日)に金沢市において学術集会を開催する運びとなりました。日本の看護界で最も長い歴史を誇る日本看護研究学会の学術集会を主催できることは、私にとって非常に名誉なことであり、関係各位の皆様に深く感謝申し上げます。
まず、令和6年能登半島地震および令和6年奥能登豪雨に遭われた皆様およびそのご家族に、謹んでお見舞い申し上げます。私は、地震発生直後から奥能登を訪れ、被災されたご家族への支援活動に尽力してまいりました。その経験から、復旧・復興支援の輪をさらに広げるために、奥能登に近い金沢市で対面形式の学術集会を開催いたします。
近年、急激に進行する環境変化や環境破壊は、ウェルビーイングの決定要因に新たな次元を付加しています。激甚化する自然災害、地球温暖化、里山・里地・里海における自然環境の喪失、水資源の汚染、都市化(緑地の減少など)の加速、さらには感染症のパンデミックといった諸課題は、ひとびとの生活基盤を深刻に揺るがし、看護学の理論と実践に対して抜本的な再考を迫っています。プラネタリーヘルス(planetary health)とは、地球環境(惑星環境)と人間の健康との交互作用を理解し、地球全体の持続可能な未来を構築するための学際的な学問分野であり、人間の健康は地球環境と不可分であるとする包括的健康概念です。プラネタリーヘルスの概念を看護学に導入することは、看護学がヘルスケアの提供にとどまらず、環境保全や持続可能性の実現に寄与する総合的な知の体系への進化につながります。
このような時代に呼応して、本学術集会のテーマを“プラネタリーヘルス時代における看護学研究のグレートリセット”といたしました。新しい次元で看護学を再評価し、新たな価値の創造に貢献できる機会を提供したいと考えております。このテーマのもと、魅力的なプログラムを準備しています。会員の皆様には、日々の研究や実践の成果をご報告いただき、会員相互の情報共有の場となることを願っております。
日本が誇る古都である金沢は、日本の伝統文化を体現する地として広く知られています。心響き合う出会いや交流、そして活発な討議が行われることを期待しております。学術集会場で皆様とお会いできることを心より楽しみにしております。