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日本看護研究学会 第38回近畿・北陸地方会学術集会を終えて2025/06/09(月) 13:21:02 RSSにてレス一覧を表示
甲南女子大学 客員研究員 松下由美子さん
能登半島地震、奥能登豪雨をはじめ、さまざまな災害に被災された方々にこころよりお見舞い申し上げます。一日でも早く、平穏に過ごせる日々が戻ることを願っております。また、被災地域でこれまで支援活動にご尽力されてきた皆さまに深く敬意を表します。
 さて、3月に開催されました「第38回近畿・北陸地方会学術集会」では多くの方の参加をいただきまして感謝申し上げます。大会長の重責に、正直不安が多くありましたが、さまざまな方々からのご支援とご助言をいただきながら無事、閉会を迎え、今年度開催予定の第39回近畿・北陸地方会学術集会 大会長の水田真由美先生にバトンをつなぐことができました。これもひとえに皆さまのご協力の賜物と、この場を借りまして改めまして心よりお礼申し上げます。
3月に近畿・北陸地方会学術集会を終えて、ほっとしながら桜の満開を通勤の車中から眺めた季節はあっという間に過ぎ去りました。それから藤の花、ハナミズキ、カゲボウシと次々に景色が変わり、今は田植えの季節に入りました。南北に長い日本列島の田植えの時期は、地方によってさまざまなようですが、近畿・北陸地方の多くの水田は5月中旬から6月にかけて苗を植えるので、きっと皆さまの身近な田んぼは、カエルの鳴き声とともに豊かな景観をつくっていると思います。
 昨今は、米価格の急激な高騰に、改めてお米のありがたさを身に染みて感じられているのは私だけではないと思います。がらーんと空いたスーパーの棚に「果てさて、この棚には何がおいてあったかしら?」と頭を傾げ……。まさかお米が消える日が、この日本に再び来ようとは!この衝撃的な体験をされた方も多いのではないでしょうか。
 実は、お米を作るという農業生産活動には、その活動に伴ってお米という農産物(食料)を作る以外にも多面的な機能が含まれているといいます。例えば、農業による水循環の制御は洪水防止、土砂崩壊防止、河川流況の安定など、実際これらは防災、減災というかたちで地域社会に貢献する活動にもなっています。また、田んぼは皆さんもご存知のとおり、生物生態系の保全、生物多様性を維持する大切な場所です。さらに、農業活動はその地方、その土地の伝統文化を生み、その継承に機能してきただけでなく、地域の人間関係を形成し、近隣との信頼と絆を生み出す重要な装置でもあります。
 このようにして考えると、放棄田(耕作をやめてしまった水田)の問題は、単なる食糧問題のみで扱う課題ではないように思います。お米の価格の高騰は、私にとって大きな衝撃であることは間違いないのですが、それまでも私たちの国がずっと抱えていたにちがいない問題を顕在化した大切な機会にもなりました。
熱々の炊き立てご飯で握るおにぎり、当たり前に享受してきたその豊かさの継続は、ひとりひとりの本当に気づきの一歩から始まるのかもしれません。お米を研ぎ、艶々に光る一粒一粒に、いつも感謝できる私でいたいと思う今日この頃です。
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