学術集会

当地方会独自で開催している学術集会についての情報を掲載いたします。

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第19回 一般社団法人日本看護研究学会 九州・沖縄地方会学術集会を終えて

第19回日本看護研究学会九州・沖縄地方会学術集会を終えて

第19回日本看護研究学会九州・沖縄地方会

学術集会長 前田 ひとみ


 めまぐるしく変化する医療や看護を取り巻く環境の中で、質の高い医療を提供するために看護職の専門性の強化と役割拡大が求められています。そこで、第19回日本看護研究学会九州・沖縄地方会学術集会は「看護実践力のScienceとArtを拓く」をメインテーマとし、平成26年11月8日(土)に市民会館崇城大学ホール(熊本市民会館)で開催させていただきました。特別講演、研究助成発表、一般演題に加え、今回はランチョンセミナー(アスタリール株式会社共催)も加わり、お陰様で九州県内の会員・非会員約190名のご参加を賜ることができました。
 看護学は実践の科学であると言われながらも、臨床における経験知を意識化して、実践知として言語化していくことは容易なことではありません。そこで、開会に当たり学術集会長挨拶として、「看護実践の根拠を見える化する」というタイトルで、本学術集会企画の意図を説明させていただきました。
 特別講演では、看護現象を見える化する手法のひとつである質的統合法(KJ法)を研究・開発された情報工房 代表の山浦晴男先生に「質的統合法(KJ法)の考え方と方法-臨床の実践知と質的研究法-」というタイトルでご講演いただきました。看護の臨床現場では「さばく仕事」のやり方と「知恵を働かせる仕事」の両方のやり方があること、看護研究は「知恵を働かせる仕事」ですが、単なる問題解決にとどまらずにいかに研究として発展させるかについてW型問題解決モデルをもとにわかりやすくご説明いただきました。また、論理的にものを考える訓練として「思考の三角形」をご紹介いただき、4コマ漫画ではその理論が用いられていることを例を示しながらご説明いただき、学生の思考訓練について日頃悩んでいる者としてとても興味深く拝聴しました。
 総会においては、地方会の規約改正が行われ、九州・沖縄地方会次期会長として九州大学大学院の藤田君支先生が推薦され、承認されました。
 総会の後に、ランチョンセミナーとして日本歯科大学生命歯学部口腔外科学講座の松野智宣先生に「健康はお口から~口福なHappy Lifeを過ごすために」というタイトルでご講演を頂きました。動画や多くのデータをもとに、認知症の発生率と歯の本数との関係や、噛むことが様々な疾患の予防につながることを、わかりやすくご説明いただきました。高齢者の感染症予防において口腔ケアは重要ですが、超高齢社会の中でQOLを高めるためにはQOH(Quality of Health)を高める必要があり、その基本には口腔の質QOM(Quality of Mouth)の維持が欠かせないことがよく理解できました。
 平成23年から設立された一般社団法人日本看護研究学会九州・沖縄地方会研究助成(木場・田島研究助成)発表として熊本大学大学院保健学教育部博士後期課程の村上美華氏が「新人看護師の職業性ストレスに関する研究」を発表されました。その後、一般演題として、口演10題、示説18題の発表があり、活発な意見交換が展開されていました。本学会は、熊本・徳島・千葉・弘前の4つの国立大学に設置された教育学部特別教科(看護)教員養成課程によって、若手研究者の育成と看護研究の発展を目指して、昭和50年に四大学看護学研究会として設立された、歴史のある学会です。地方会は、各地方での看護学研究者と臨床の看護職者の交流を推進すると共に、特に、若い看護職のみなさまが看護研究の成果を発表する経験を通して、その成果をさらにブラッシュアップするいい機会だと考えます。残念ながら、今年度は助成対象研究はありませんでしたが、九州・沖縄地区から優秀な若い看護学研究者が育つことを祈念しております。
 最後になりましたが、ご多忙な中、査読や座長をお引き受けいただきました先生方、ご参加いただきました皆様、本学術集会にご協力いただきました企画・実行委員の皆様、運営にあたってお手伝いいただきましたボランティアの皆様、学術集会にご賛同いただき広告やご寄附などをいただきました皆様方に、心から感謝とお礼を申し上げます。
 本地方会が看護学の知の発展と高い臨床実践能力を有する看護師の育成に向けて貢献できることを祈念し、本学術集会を無事終了できたことに心より感謝申し上げます。