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新任訪問看護師の奮闘記−実践と理論をつなぐ−2021/08/20(金) 10:31:13 RSSにてレス一覧を表示
ハートコール訪問看護ステーション・三原綾さん
 皆様、こんにちは。ハートコール訪問看護ステーションの三原と申します。私は、昨年度大阪医科大学大学院看護学研究科修士課程を卒業し、この春より訪問看護師しとして働き始めました。これまでは、修士論文で寝る暇もないほどにパソコンと向き合う生活でしたが、今は、自転車で地域の中を走り回る生活へと一変し、また違った楽しさを感じながら毎日を過ごしております。今回のブログでは、新任訪問看護師から見た訪問看護の現状と訪問看護の活動並びに事例からの学びについて少しお伝えしてみようと思います。
 新型コロナウイルスの蔓延により医療機関へ影響があるなか、訪問看護ステーションも同様にさまざまな影響を受けながら利用者様へのサービスを提供しております。特に、コロナ禍で病院に入院すると面会制限が設けられる理由から在宅での生活を希望されることも少なくなく、がんターミナル期にある利用者様の新規依頼が続いております。
 がんターミナル期にある利用者様へ訪問看護が介入する時には、既に医師からの病名や余命の告知がなされた状態の方がほとんどを占めています。しかし、利用者様やそのご家族の病気や病態への理解や受け入れ状況はさまざまで、一人ひとり違った対応や支援が求められます。こうしたことから、利用者様へどう声をかけたらよいのか、何をすれば少しでも安楽に過ごすことができるのか、悩むことがしばしばあります。
 成人期にあるがんターミナルの利用者様の事例では、唯一の身内にもサポートを遠慮し連絡することを拒まれるため、病状の変化のある中、本人と日常生活の支援に関わるすべての調整をせざる得ない状況がありました。がんの進行に伴い痛みが増強し、さまざまなことを一人で抱えることで精神的な痛みも加わり、疼痛コントロールにも苦労していました。そこで、理論的に利用者を捉え看護を振り返ることができるよう、事例に応じた諸理論やモデルの勉強会をすることを提案し、喪失・悲嘆、危機理論と危機介入について簡単な講義を行い、そのうえでカンファレンスを実施しました。この事例では、半年以上前に告知がされているにもかかわらず、ご本人の誰にも迷惑をかけたくないとの思いがあり、長い期間一人で孤独に過ごされてきたことから危機的な状況に陥っていたことを、読み解くことができました。また、スタッフみんなで日々かかわることにより、危機から脱却し利用者への支援ができていたことを客観的に評価できました。さらに、告知の時にどうだったか状況を読み解くことや、病院との連携の強化が求められるといった課題もみえてきました。
 このように、勉強会やカンファレンスを利用し大学院で学んだことを実践につなげていくことで、看護実践もより楽しくなり、また看護の質向上にもつながるのだと実感しています。まだまだ訪問看護の現場では不慣れなことが多いですが、優しさと熱意をもつ先輩看護師に支えられながら、これからしっかりと成長できるよう頑張りたいと思います。
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コロナ禍の日常2021/06/26(土) 14:40:45 RSSにてレス一覧を表示
福井医療大学保健医療学部・近藤やよいさんさん
 皆様、こんにちは。私は福井医療大学の近藤やよいと申します。コロナ禍で社会が混沌とする中、当大学もその煽りを受け、病院実習から学内実習への変更を余儀なくされました。ここでは、少し実習についてお話させていただきます。
 このような状況の中、学生をはじめ我々教員も不安や戸惑いを感じながら手探りで学内実習を進めて参りました。特に、学内実習で気を使ったのは環境です。臨床現場の雰囲気や空気感を大事にしたいと考え、患者の精神状態に合わせた療養環境、ナースステーション、作業療法室、病院の内庭を見立て、患者と散歩コースを準備する等、学内における実習の場をできるだけ忠実に再現しました。そして、再現場面ごとで教員が患者役になりきり、学生の患者への対応(視線や態度、コミュニケーション技術を活用した関わり、パーソナルスペース、安全面等)に応じて、学生1人1人に対し臨機応変に対応を替えました。また、患者の突然の沈黙、支離滅裂な発言やまとまりのない会話、抗精神病薬の副作用症状の出現等、学生とのやりとりの中では、臨床実習での『あるある』を想定し関わりました。その中で、学生は戸惑い、患者対応に右往左往することもありましたが、すべてが教科書通りの手順では通用しないことを学んだと思います。さらに、ロールプレイ後のカンファレンス時、自己評価、他者評価を行ったことで、患者との関わりにおいて、自己の傾向や改善点に気付き、より自分自身を客観視することができていたと思います。しかし、どんなに工夫を凝らしても、学内実習には限界があります。実際に患者とのやりとりの中で育まれる信頼関係や、指導者から叱咤激励等、臨床実習ならではで得られる学びや、臨床実習を通して学生が感じる達成感には到底及ばないと感じています。この先も、今しばらくこの状況は続くと思いますが、教員として、今出来ることを精一杯行い、いかなる状況下でも対応できるように取り組んでいきたいと思います。
 さて、話はかわりまして、次は私のストレス解消法をご紹介します。
 まず1つ目は、うちの3男坊のジュン君の写真・動画撮影を行うこと。ジュン君とは、我が家にきて4年目のチワワ犬(オス)のことです。毎日ジュン君の写真や動画を撮影し、家族ラインで共有しているのですが、撮りすぎ!と家族には呆れられています。でもこの可愛さを共感してほしいので、しばらく我慢してくださいね。
 そして、ストレス解消法の2つ目。それは、私の元気の源であるパクチーを食べることです!!少なくとも週3回は食べています。しかし、私以外の家族は、パクチーの臭いが大の苦手。そのため、自宅で大盛りパクチー入りトムヤムクンラーメンを食べる時は、こっそり換気扇の下で食べています。皆様ご存じの通り、パクチーは大変癖のある食べ物です。まず、その独特の臭いが嫌いという方が多いのではないでしょうか。なぜ私のように熱狂的なパクチーファンがいる一方で、私の家族のように極端にこの臭いを嫌がる人がいるのか‥。気になり少しパクチーについて調べてみました。なんと、パクチーの風味は、石鹸にも含まれるアルデヒドという芳香成分が含まれているそうです。さらに、パクチーの臭いはカメムシに似ていると聞いたことはありませんか?これも調べてみました。これもなんと、パクチーのデセナールやヘキセナールという臭い成分がカメムシ同一であることがわかりました。パクチー嫌いな人は、パクチー=食べられないもの!と脳が判断しているのかもしれません。余談ですが、食用カメムシは東南アジアでは比較的メジャーな食べ物なので、アジア系の料理にパクチーが多く使用されているのも納得です。この文章を書いているうちにお腹が空いてきました。さあ、今日もパクチーを食べて頑張ります!!
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看護学生へのリアルな医療安全教育「患者役はスタントマン!」2021/03/31(水) 09:19:16 RSSにてレス一覧を表示
滋賀県立大学人間看護学部・米田照美さん
クリックにて拡大表示  皆様、新型コロナウイルス感染拡大で不安と緊張の日々をお過しのことと存じます。
  この度、初めてリレーブログに記事を投稿することになりました滋賀県立大学人間看護学部基礎看護学講座の米田照美です。私は看護師・看護学生を対象に療養環境や援助場面の観察時における視線を計測し、危険認知の特徴を明らかにする研究を行っています。また、それと並行して看護学生を対象とした体験学習型の医療安全教育にも取り組んでいます。今回は本学(本学部)で取り組んできた医療安全教育についてご紹介いたします。
  看護学生が臨地実習で経験するヒヤリハット(インシデント)は一部の研究報告によると4割〜7割と言われています。本学部でも一度、調査しましたが、在学中に約4割の学生がヒヤリハットを体験していることが分かりました。学生に対して医療事故の危険性については、たびたび授業や実習で説明・指導してきましたがなかなか実感を持って理解してもらうことが難しいと感じていました。看護技術の練習では学生同士で患者役・看護者役を行うことが多く、緊張感がなく、看護者役が説明する前に患者役が先に動いてしまう場面も多く見受けられました。
  ある日の朝、NHK「おはよう日本」のニュース番組で高校生や中学生を対象とした交通安全教室で実際に生身の身体で車にはねられる場面を再現しているスタントマンを観ました。この時、ふと、ひらめきこの方々に医療事故の転倒や転落事故の場面を演じてもらえれば医療事故の危険性をリアルに伝えることができるのではないかと考えました。すぐに警察署に問い合わせて事情を説明したところ、スタントマン専属事務所の倉田プロモーションさんを紹介して下さいました。事務所の方も初めての依頼ということで何度が打ち合わせを重ねながら授業計画を練り上げ、患者役をスタントマンが演じる医療安全教育を実現することができました。
  演習では医療事故の危険性をいかにリアルに伝えるかということに重点を置きました。医療事故の再現劇では、スタントマンの方に骨折や麻痺などの障がいのある患者役や高齢で歩行移動が難しい患者役を演じてもらい、移動や移乗介助時の転倒や転落シーンを実際に生身の身体で演じてもらいました。さらに、学生にはスタントマンの演じる片麻痺のある高齢患者さんの車いす移乗援助を実践してもらいました。車いす移乗の実践では学生の援助技術が悪いとスタントマンさんが容赦なく転倒・転落・滑落して頂けるので、見ている側も実践する側もいつもより緊張感を持って臨床に近い状況で取り組めました。演習後の学生の感想では、普段練習している学生の患者役との違いにかなり戸惑い、その中で患者を安全に援助することの難しさを実感したと記述する学生が多かったです。また、体験を振り返り、自己の看護技術の未熟さ、知識不足、患者への説明不足、観察不足、注意不足が原因となり、医療事故が容易に起こることを理解したという記述も多くみられました。この演習後、多くの学生は医療事故を他人事ではなく自分自身の問題として捉え、演習前と比べて医療安全への意識が向上したのではないかと手ごたえを感じています。
  令和2年度はコロナ禍のため対面授業が中止となり、この演習も実施できませんでした。今年度もどうなるかわかりませんが、感染拡大の中、病院実習や学内演習の実施も厳しく、今後はオンライン学習でもよりリアルに学習できる医療安全教育の開発が必要になってくるのではないかと思っています。一日も早くコロナ感染が収束し、日常の看護教育に戻れることを祈るばかりです。

【研究者URL】
研究紹介|滋賀県立大学人間看護学部 基礎看護領域 (usp.ac.jp)
http://www.nurse.usp.ac.jp/kiso/research_04.html
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アメリカ・フィンドレー看護短期留学で感じた看護教育の違い2021/02/26(金) 19:26:17 RSSにてレス一覧を表示
福井県立大学・金粕仁美さん
 近畿・北陸地方会のみなさま、初めまして。福井県立大学の金粕仁美と申します。
 
 昨年2月、ちょうど新型コロナウイルスが流行しはじめたころに、アメリカ・オハイオ州フィンドレー大学へ学生の看護短期留学に同行しました。今思えば、ぎりぎりのタイミングで実現した渡米と帰国でした。2週間余りの滞在でしたが、現地の大学の看護や日本語の授業に参加したり、複数の医療・福祉施設に視察したりなど、様々な人達と交流することができました。
 その中で、興味深かったのは、アメリカ・フィンドレー大学で実施されている看護教育についてでした。日本の場合、講義は教員からの一方向の授業というイメージが強いのですが、フィンドレー大学では、教員からの質問に対して学生が自由に発言して講義を進めていくというスタイルでした。また、内容ごとに講義と演習がセットになっていて、例えば、火曜日に薬剤投与に関する講義があり、翌日の水曜日に演習を行うという形でした。演習は臨床に近い形で行われており、疾患や年齢などが設定されている患者さんにデモ用の薬を投与し、必要な観察などをおこない、最後にカルテの記載をおこなうというような流れでした。予習や復習の時間も多くとられていて、講義・演習ともに、学生が主体的に学習しているという印象でした。
 私自身、今までそれほど海外の教育方法に関心を寄せていませんでしたが、異国の看護教育の良い点を日本の看護教育にも少し取り入れられたらいいなと思っています。特に、学生の主体性を高められるような教育がおこなえたらいいなと感じています。また、臨床に近い演習方法は、コロナ禍で実習施設に行けない場合の学内演習にも応用できるかもしれません。
 現在、本学とフィンドレー大学間・看護学科同士の国際交流は行えていませんが、今後、渡航が可能となり交流が再開したら看護教育に関する意見交換や調査などがおこなえたらいいなと思っています。
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看護情報学:PPDACサイクルについて2021/01/28(木) 09:13:03 RSSにてレス一覧を表示
大阪府立大学大学院看護学研究科 森本明子さん
 大阪府立大学大学院看護学研究科・看護情報学分野の森本と申します。今回は、データを活用した統計的課題解決サイクルである「PPDACサイクル」について紹介させていただきます。

 まず、PDCAサイクルは、1950年代にDemingとShewhartにより提唱され、第二次世界大戦後に製造業等で発展しました。ご存知の方も多いと思いますが、最初のPlanの段階で「課題に対する目標の設定や具体的な取組みの立案」を行い、Doの段階で「取組みの実施」、Checkの段階で「取組みの評価」を行います。この従来のPDCAサイクルに加えて、近年、データを活用した統計的課題解決サイクルであるPPDAC(Problem、Plan、Data、Analysis、Conclusion)サイクルが着目されています。PPDACサイクルは、1999年にWildとPfannkuchにより提唱されました。最初のProblemの段階で「課題の明確化や分析課題の設定」を行います。次いで、Planの段階で「データ収集や分析等の計画立案」を行い、Dataの段階で「データ収集」、Analysisの段階で「課題の現状把握や要因検討等のためのデータ分析」を行います。そして、Conclusionの段階で「データ分析に基づいた課題解決への具体的な取組みを提案」します。このPPDACサイクルの体系的なプロセスは、PDCAサイクルのPlan(課題に対する目標の設定や具体的な取組みの立案)を実行するために必要なプロセスです。そのため、PPDACサイクルとPDCAサイクルをあわせて展開することが重要となります。
 現在、看護情報学分野では、大阪府受託事業「特定健診受診率向上プロジェクト ―効果的なプロモーションの確立に向けた提案―」の運営を行っています。大阪府の特定健診の受診率は全国と比べ低い状況で推移しているため、大阪府において特定健診の受診率向上は重要な健康課題の一つです。この事業において、まず、「データ分析に基づいた特定健診受診率向上のための具体的な取組みを提案」するために、大規模調査やパブリックデータ分析等を実施し、PPDACサイクルを展開しています。

 日々蓄積されているデータの活用や、PPDACサイクル及びPDCAサイクルの活用は、より良い看護実践や保健活動に貢献すると考えています。今回は、PPDACサイクルについて紹介させていただきました。
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